この記事のポイント
- 割引額や言い回しに惑わされてはいけない
- 「無料」「半額」がどれくらいお得になるのか、自分の頭で考えるべき
「2着目半額」は本当にお買い得なのか?
恐いんですよね言葉のマジックって。
悲しいかな、我々人間は「無料」「半額」と聞くとまずもって何も考えずに「お得!」という思考になってしまいがちです。
街中で「新商品の無料サンプルをお配りしてまーす!」という声がけのもとに、人だかりあるいは行列を見たことはありませんか?
例えば新聞の号外を奪い合う風景なんかもそれにあたります。
「お得!」という思考になるということは、同時に「もらわなきゃ損する」「買わなきゃ損する」という考え方になってしまい、自動的にもらう・買うことが視野に入ってしまいます。
そしてそれほど必要ではないものでもついつい「だってお得だから」という理由で手に入れようとしてしまいます。
僕の好きな言葉に、「買うかどうか悩む理由が値段なら買いなさい。買う理由が値段ならやめなさい。」という言葉があります。
どこのどなたがおっしゃった言葉なのかは知らないのですが、この言葉を見た時、ものすごく腹に落ちたことを覚えています。
売る方は無駄な買い物をさせようとしている
商品を売る側は買う側にとってできるだけ多くの買い物をさせようとしています。
これは当然の話で、自分がもし売る側に回ったら売り上げを伸ばすことだけを考えますよね?
買う側にとっては「無駄な」買い物でも、売る側にとっては全く「無駄な」買い物ではありません。
買う側にとって買うかどうか迷う大きな壁となっているのが値段です。
そしてその値段の壁を簡単に越えさせようとする誘惑のマジックワードが「無料」「半額」という言葉なんです。
買い物を利率(割引率)で考えると・・・?
さてでは「2着目半額」はそれほどお得なのでしょうか?
例えば、1 着 3 万円のスーツがあるとします。
普通に 2 着買えば 6 万円ですが、「2 着目半額」を適用すると、2 着目のスーツの値段は 1.5 万円になります。
合計すると、
3 万円+1.5 万円 = 4.5 万円
になります。
普通に買った時の 6 万円と比べてみると、1.5 万円割引がなされたということになります。
これを利率(割引率)で見てみるとどうなるでしょうか?
6 万円のものを買う時に 1.5 万円得したので、
1.5 ÷ 6 × 100 = 25(%)
となり、つまり 25% 割引であったということがわかります。
ということは、「2着目半額」は「2着合計で買うと2割ちょっと割引」という言い方をすることもできます。
さてこれを「あ、2着目半額といっても合計の割引率って2割ちょっとにしかならないのか」ととらえるか「いやいや2割以上の割引は大きいな」ととらえるかはあなたの自由です。
しかしいずれにしても「半額」という響きほどのインパクトは無いのではないでしょうか?
10 杯飲んだら 1 杯無料
似たような割引サービスで、「10 杯飲んだら 1 杯無料」といった類のものもあります。
これも「2着目半額」と同様に考えてみます。
1 杯 300 円のコーヒーがあったとします。
10 杯飲んだら 3,000 円、さらにもう 1 杯飲むと合計で 3,300 円になります。
ここで、「10 杯飲んだら 1 杯無料」のサービスを受けると 11 杯目が無料になります。
つまり、3,000 円で 11 杯飲めることになります。
ではトータルの割引率はどうなるでしょうか?
3,300 円のものを買って 300 円が無料になったので、割引率は
300 ÷ 3,300 = 約 9.09(%)
です。このケースでは、トータルで考えると約 9 % の割引となります。
こちらも「10 杯飲んだら 1 杯無料」という言葉を言い換えると「11 杯飲むまでは、1 杯に付き 1 割いかない程度の割引」ということになります。
さてこれもどう取るかは個人の自由ですが、「無料」という言葉の響きからはかけ離れた印象になるでしょう。
まとめ
「高い」か「安い」かは個人の価値観に依存するものなので、一概に「2着目半額」とか「10 杯飲んだら 1 杯無料」という表現を批判するわけではありません。
一番言いたいことは、「表面上の言葉だけに惑わされず、別の視点で物事を捉えて自分が納得できる意思決定をしよう」ということです。
ちょっと堅苦しい言い方になってしまいましたが、要は自分の頭で考えようってことですね。
あくまでも買い物は「 買うかどうか悩む理由が値段なら買いなさい。買う理由が値段ならやめなさい。 」ということを念頭において。
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