持ち家派?賃貸派?FPの僕が家を買う気になれない7つの理由

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この記事のポイント

  • マイホーム=夢でもなんでもない
  • 自分もまわりも変わり続けるのに、一度決めたことが何十年も変えられない

あなたは持ち家派?賃貸派?

昔からずーっとやってますよね。
持ち家派 vs 賃貸派論争

なぜずーっとこの論争が行われているかというと、答えが無いからです。

家庭の状況に応じて持ち家にしたほうが良いのか、はたまた賃貸にしたほうが良いのかは千差万別です。
というより何より、持ち家がいいか賃貸がいいかは個人の価値観によるところが大きいのです。

やっぱり憧れのマイホーム、という人もいますし、いやいや色んな所に住めて身軽な賃貸のほうが、という人もいます。

家族形態、収入、価値観、将来設計などなど様々な要因を考える必要がある「住宅」問題ですが、個人的には今の時点では「持ち家」にすることはかなりリスクを抱えることになるんじゃないかと考えています。

これからその理由について書いていきます。

持ち家を買う気になれない7つの理由

1.人口が減り続けている

ご存知の通り、今は少子高齢化が進んでいます
そしてこの流れはこれからもどんどん加速していくと言われています。

我が国の人口の推移(総務省ホームページより抜粋)

幼児教育無償化だ待機児童ゼロだなんだと言われていますが、相変わらず待機児童問題は解消されない賃金の男女格差は埋まらない男性の育児休暇取得率は死ぬほど低い育休取ったらキャリアが分断されるし。

やっぱりどう考えても女性に対する風当たりって強すぎますよね。ニッポン。
子ども育てる気あんのかい。

これじゃ積極的に「子どもを作ろう!」とはなりにくいよなぁ。
と感じています。

このままだと残念ながら少子高齢化の流れは当分変わりそうにありません。
となるとシンプルに、

  • 人口が減る →
  • 家に住む人が少なくなる →
  • 家が余る →
  • 家の需要が減る →
  • 家の価格が下がる

になるはずです。簡単な需要と供給の関係ですね。

なので今家を買っても、その価値がこれから上がるとは思えません。
逆に言うと、これから先は価格が下がってくるはずなので、仮に買うにしてもお手頃価格になってきたあたりで買ってやろうかなと思ってます。

2.自分の可能性を狭めてしまう

「持ち家」は大多数の人が住宅ローンを組んで買うものです。
要は、借金をして買うわけですね。

ということはそれが自分にとっての大きな大きな荷物になります。
当然、家を買った後はフットワークが鈍くなります。
その後の人生、全て「家」を基準にして意思決定をしていかざるを得なくなるのです。

家族のことを考えると、自宅から離れた職場への転職はそうそう簡単にはできなくなります。
新しい趣味を始めるにしても「住宅ローンが。。」と出費を渋って始められないかもしれません。

「家」を第一に考える人生って何なんでしょうか?

「夢のマイホーム」なんて言いますが、どの辺が夢なんでしょうか?
「家を買ったら一人前」は何が一人前なんでしょうか?何千万も借金してるのに一人前なんでしょうか?

借家でも賃貸でも、家族との幸せな生活はできます。


僕は「家」にコントロールされる人生はイヤです。

3.外部要因をコントロールできない

一度「家」という重い荷物を背負ってしまうと、そう簡単に手放すことはできません。
よっぽどのことが無い限りは、最低でも住宅ローンを返し終わるまではそこに住み続けることになるでしょう。

その何十年もの間に、周りは一切変わらないでしょうか?

よくあるのは隣にでっかいマンションを建てようとして陽が当たらなくなるから、「マンション建設はんたーい!」とか。

それぐらいだったらまだまし(?)かもしれませんが、モンスター隣人が引っ越してきたり、あるいは自然災害に巻き込まれたり。

もちろん、これらが起こる確率は極めて低いと思います。
ただ、もし起こってしまった時にどうしようもないんですよね。

それを、「ローンを返し終わるまでの間、お願いだからまわりで何も起こらないでくれ」と祈るのはいささかバクチに近いように思えます。

4.最大公約数な間取りを考えないといけない

歳月が経つと、家族の形態も変わっていきます。
結婚し、2 人だった家庭に子どもができて 3 人になり、さらに子どもができて 4 人になり。

家族 4 人が快適に過ごせる家を買う。

でも、子どもたちが社会人になったら、結婚したら、やがて家を出ていきます。
家に住むのは 2 人だけになります。

そうすると、2 人で住むには家が広すぎます。
2 人で住むならもう少し小さな家でいいはずです。

つまり、家を買う時には「家族の人数が一番多い時」に合わせないといけないのです。
これでは住む人数が少なくなった時に、ムダなコストがかかり続けることになります。

5.「家」が持つ機能を代替してくれるサービスが登場し続ける

平成の時代はまさに「IT の時代」と言っていいほど、僕たちの生活に IT は無くてはならないものになりました。
その象徴のひとつであるスマートフォンが普及したのは、ここ 10 年以内の話です。

主な情報通信機器の保有状況(世帯)(総務省ホームページより抜粋)

たった「10 年」で実に便利なサービスが様々登場しました。
そしてこれらのサービスの中には生活スタイルそのものを変えるようなものもあります。

タイムズカープラスのようなカーシェアリングサービスを使えば車を持つ必要はありません。
車を持つ必要が無いということは駐車場を持つ必要がありません。
(関連記事:車って本当に必要?)

服の月額レンタルサービスであるairCloset EDIST. CLOSETを使えばクローゼットがいらなくなります。

サマリーポケットのようなトランクルームサービスを使えば普段あまり使わないものを置いておくスペースが不要になりますし、Amazon フレッシュイトーヨーカドーネットスーパーのように、生鮮品を運んでくれるサービスを利用すれば近くにスーパーが無くても困ることはなくなります。

これらのサービスが普及(登場)したのはここ 10 年以内の話です。

対して、たいていの住宅ローンは 30 年以上

さてあなたはこの時代の変化の速さをどう見ますか?

6.自分の知識はアップデートされ続ける

当たり前ですが、自分の知識は(がんばれば)どんどん増え続けていきます。
世界中のありとあらゆる知識を 100 とすると、今の自分が知ってることなんて 0.0000000001% ぐらいじゃないでしょうか?

もちろん家を買うための知識についても同じことが言えます。
一般人である我々は不動産業に関わっている人にかなうはずがありません。
ですが、勉強すれば少しは近づくことができます。

「3.外部要因をコントロールできない」で家のまわりのことについて触れましたが、土地には建てられる建物の種類が決まってるということを知っていますか?

例えば、「ここからここまでの土地は『住む』ための建物だけなら建てていいよ」「ここからここまでは『住む』ためのものでもいいし、カラオケボックスや旅館も建てていいよ」という風に、決まっているのです。

これを知らなかった人は、この話を聞いただけでも家選びの基準がちょっと変わってきませんか?
(家の近くにカラオケボックスがあるのはちょっとイヤですよね?)

そう考えると、「えいやっ!」で決断したものが 30 年以上続くことにリスクがありすぎるのです。
新たな知識を得て、1 年後には自分の考え方が 180 度変わってるかもしれないのです。

説得力が無くなってしまうかもしれませんが、今後知識を得ていくともしかすると僕自身も 1 年後には「いや、絶対持ち家買うべきしょ」となってる可能性だってありえます。
(今のところ 10 年以上はこの考え方は変わっていませんが。)

最適な答えは常に変わり続けるんですよね。
そう言ってしまうと何の決断も下せなくなってしまいそうですが、一度下した決断が 30 年以上も修正できないというのはいささかリスクが大きいんじゃないでしょうか。

7.自分の価値観は変わる

知識が変わり続けるのと同時に、自分の価値観が変わる可能性も十分に考えられます。

都会で多少がちゃがちゃした中でも生活に便利な所を、と考えていたのが、もう少しのんびり多少不便でも穏やかな所に、なんてよく聞く話です。

あなたは、30 年後も今と全く同じ価値観・考え方ができると断言できますか?

仮に 35 年ローンを組んだとしたら、今から 35 年後の自分の価値観を想像できますか?
僕は今 35 歳なので、35 年前といったらちょうど産まれた年ですね。
もはや価値観とかいう次元の話じゃないですが。。。

35 年というのはそのぐらい長い期間です。

持ち家のほうが有利と思われる点

さんざんここまで買う気になれない理由を書いてきましたが、持ち家も悪い所ばかりではありません。
この点は賃貸に比べてメリットがあるなと思うところを書いてみます。

1.一種の保険になる

住宅ローンを組む時は、たいてい団信(団体信用生命保険)というものに入ります。
保険の内容は様々ですが、債務者(住宅ローンを組んだ人)に万が一のことがあれば、残っている住宅ローンの支払いが免除される、というものがほとんどでしょう。

したがって、残された家族は住居費を心配する必要がなくなります。

一方、賃貸の場合はその後も住居費を払い続けないといけないため、収入保障保険等で万一に備えておく必要があるでしょう。

持ち家の人で、家を買う前から入ってる生命保険の見直しを行っていない場合は損してるかもしれないので、すぐに見直しを。

2.長生きリスクに強い

長生きすることを「リスク」と呼ぶのはなんとも悲しいことですが。。。

持ち家と賃貸を比べた時に賃貸が劣っている点としては「長く生きれば生きるほどコストがかさむ」点です。
持ち家は住宅ローンの返済が終わったら、あとは固定資産税やメンテナンス費のみで済みます。
どんなにオンボロな家でも雨風だけしのげればそれでいいのなら、住居費はほとんどかかりません。

日本人の平均寿命は伸び続けてますし、戦争等が起こらない限り今後もその流れは続くでしょう。
この点を考えると、持ち家の方に分があると言えます。

35年先のことなんか誰もわからない

持ち家のメリットも挙げてみましたが、賃貸に比べてメリットが弱すぎるんですよね。。

持ち家の最大のデメリットをまとめると「一回の意思決定のリスクがあまりに大きすぎる」ということでしょうか。ここが持ち家購入に踏み切れない一番の理由ですね。

30 年も 35 年も先のことわかる人なんてこの世に一人もいないですからねー。。。

相当条件が良い中古の一戸建てがあれば買ってもいいかなぁと思ってますが、そんなのほとんどないでしょうし。ローン組むとしてもせいぜい 15 ~ 20 年が限度だと思ってるので。

この記事を書いた人

大卒後、IT屋として14年。
得意言語は Java, C#。
新卒入社した会社で社会保険料を抜かれ続けていることも知らず、自分の無知さに呆れ2級FP技能士の資格を取得。
生き抜くためのお金と時間の使い方を発信していきます。
子育て中なので特に子育て世代に役立つ話題を中心に。
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